「日中百年の群像 革命いまだ成らず 上」を読んで

 今回、譚璐美氏の著作「日中百年の群像 革命いまだ成らず 上」を紹介します。

―日中百年の群像―革命いまだ成らず(上)

―日中百年の群像―革命いまだ成らず(上)

 

書名にある言葉からも分かるように、この本での中心人物は中国革命の父孫文です。

しかし、孫文一人に焦点を絞っているわけではなく、清朝末期に活躍した革命・維新の志士たちについて一通り紹介されています。

なので、この時代の支那大陸の状況を知りたい人にはとても最適な書籍です。

この記事では、私が特に印象に残った内容について書いていきます。

 

狡猾な男 李鴻章

清朝末期の政治家、李鴻章

李鴻章 - Wikipedia

おそらく学校で歴史を学んだ人は、一度はその名前を聞いたことがあるのではないかと思います。

私はこの人に対して、頭のいい印象があまりなかったのですが、結構狡猾な男だったようです。

太平天国軍を鎮圧するために彼が取った戦略は、自ら手を下すのではなく、列強諸国の強力な戦闘能力を巧みに利用して互いに競わせることだった。

(中略)

李鴻章はこれら外国人舞台の軍人たちに対して、「治安の乱れは列国の権益を侵害するものである」と説いて戦闘意欲を掻き立てる一方、報奨制度で釣って互いに競わせるという硬軟取りまぜた方法で巧みに操った。

太平天国の乱 - Wikipedia

李鴻章、何という狡猾さ……(驚愕)

腐敗した清朝の末期でなく、もっと別の時代であれば、歴史的英雄として史実にその名を残していたのかもしれません。

 

しぶとく生き残る男 伊藤博文

この書籍では、戊戌政変が起こるきっかけになった人物として、伊藤博文を挙げている。

戊戌の政変 - Wikipedia

博文さん、このとき清にいたんですねー。

私が伊藤博文という人物に抱く印象としては、すごく生き残る人だな!ということです。

戊辰戦争後、他の維新の元勲たちは、反乱起こして処刑 or 暗殺というパターンが非常に多い。

この人も暗殺の危険は同様にあったはずなのですが、しぶとく生き残る!

この事件の際も、命の危険がまったくないわけでもないはずなのですが、生き残る!

まあでも、その後ハルビンにて暗殺されちゃうんですけれどもね。

 

末期の清に現れた名君 光緒帝

滅亡寸前の清の状況は、私が言わずとも皆さんの知るところです。

西洋諸国に権益をじわじわと侵されながら、因習と慣例から脱却できずに破滅へと向かっていく――。

そんなときに改革の必要性を自覚し、実行に移した名君がいました。

その名は、光緒帝。

光緒帝 - Wikipedia

書籍に彼の上諭が紹介されています。

長いのでその内容はここでは省きますが、現状打破のためには西洋を見習った改革が必要なのだ!という熱い想いが込められています。

淡々とした文章ながらも、”国民を思いやる情”と”利権を貪り、改革に反対する守旧派への怒り”を強く感じることができます。

しかし、最終的に改革は失敗。西太后に抑えられる形となり、その後、彼は毒殺されてしまいます。

いい人ほど早死にする、という悲しい真理を示しているかのようです……。

 

生かさず、殺さず、金を貪る列強

義和団事件の後、列強各国に対する賠償金を払うことになった清国。

義和団の乱 - Wikipedia

このとき行われたやりとりは、まさに机上の戦争。

個人的に一番驚いたのがこれ。

彼(張之洞)はアメリカに代表される列国の、親切めかした代理試算と「税金や関税を担保にしたらどうか 」というアドバイスに、ひどく神経を尖らせていた。

税金を担保にしたら、その先どうなるかがもはや目に見えるようです。

国家の利権のひとつである徴税権を失うことは、国家の死を招くのは言うに及ばず。

列強諸国の貪欲さが垣間見えます。

 

最後に

ここまで「日中百年の群像 革命いまだ成らず 上」を紹介してきました。

こういった書籍には、教科書では学ばないような事件の細かい経緯が記述されています。

歴史を本当の意味で学ぶためには、この粒度の詳細を知ることが必要でしょう。

いやー、歴史は面白い!

次の下巻をこれから読むのが楽しみです!

 

―日中百年の群像―革命いまだ成らず(上)

―日中百年の群像―革命いまだ成らず(上)